この映画はとてつもなくリアルだ。
ラップも剣道も呑んだくれも全てやった俺が言うんだから間違いない。
昔の映画みたいな画はとても独特で、
2人の獣のような鋭さ・臨場感・静まる緊張感。
自分の息をのんでしまうほど画面に吸い込まれる。
そこに生きる葛藤や弱さ・ブレだったり、ぶつかったり、逃げたり…
それも人間なんだと思った。
綾野剛さんや村上虹郎さんの表情1つ1つが魅力的で
なんかずっとみていたいと感じました。
俳優の動態性が、ここまでダイナミックな作品は稀だ。
その中心にあるのが、綾野剛の顔、
表情の恐るべき変化だった。
村上虹郎は、彼の動態性を体全体で受け継ぐ。
2人が向かう先は、今の時代が見失った
かけがいのない人間の魂のありか以外ではない。
類をみない世界観を描くのが熊切映画の真骨頂。
観逃せば、あなたの人生において
“世界を一つ”損じるも同然。
孤立無援の渾身作!
綾野剛の酔態が凄い舞踏に思える。何という身体能力。
それが村上虹郎にエモーションのすべてを架ける。
この映画はすべてだ。
人間として、日本人としての大切な部分が
剣道を通じて描かれていました。
熊切監督がまた壮絶で残酷で耽美――
そして、とびきり面白い世界を創りあげた。
これは時代を超えた剣豪時代劇だ!!
斬っても、斬っても断ち切れない感情があり、
決して切れない関係がある。それでも男達は斬る。
いや~カッコいい。最後唸りました。
真正面から対象に向き合う熊さんの演出と、それに応える俳優たち。
そして、熱量のあるスタッフの才能が混ざり合い、
ドロドロになって滲み出るのは、
ただただ弱い人間たちの姿だった。
熊さんはいつも力強い筆で弱い人間たちを描き切る。
『武曲 MUKOKU』は熊さんにしか作れない美しい映画だと思った。
この映画と心中してもいい、
きっとそんな思いで臨んだのではないだろうか。
刹那、業、魂の叫び、めくるめく綾野剛は、
身悶えするほど美しい。
何かを極めることの厳しさ、苦しさ、
素晴らしさにとらわれた男たちの狂気に圧倒されました!
そして鎌倉っ子の私には彼らの激しさとは対照的な、
湘南の海の美しい輝きが一層心にしみわたりました。
これはいろんな面で人を勇気付ける素晴らしい映画だと思います。
剣道は人道なり、善と悪は紙一重です。
監督は剣道精神を非常に冷静で且つ精確な叙事手法で親子の絆に溶け込ませています。
そして繊細に描かれた画面一つ一つは
見る人みんなが心を打たれ勇気づけられるものです。
更に古き良き深い思い(古之幽情)を借りて現代を生きる
若い世代に希望を伝えています。
また、剣闘シーンは<精>、<気>、<神>が最高境地の調和を取れています。
監督や脚本家そして俳優たちが真心と情熱を込めた演出に<伝統>と<現代>の
精髄が結合された映画的でとても素晴らしい作品だと思います。